猪股恵喜 講演会記事 【人間医学社薬局】  (上)

千年前の食品舎・舎長  猪股 恵喜


私の娘は31年前に、生後三カ月でアトピー性皮膚炎と診断されました。そのときのショックは今でも覚えております。
治療は、はじめはステロイド剤を使っていましたが、少し良くなったようにみえても、また悪化します。そこで次には、より強力なステロイド剤を使います。その量もだんだん増えていきます。しかし、それで治ることはなく、むしろ抜き差しならぬ状況になっていきました。

以来、アトピーに有効といわれるいろいろな方法を試みましたが、改善することはありませんでした。そこで考えたのは、私たちの体が食べ物からできている以上、日々の食べ物を正しくしなければ病気は良くならないということでした。

栄養以前の生命力を食べる

漢方では「草根木皮これ小薬、鍼灸これ中薬、飲食衣服これ大薬」といわれます。食物には生命があるからこそ大薬なのです。西洋医学の祖といわれる古代ギリシャのヒポクラテスも「食べ物で治せない病気は医者でも治せない」という言葉を残しているそうです。

今の食品は、過剰なほど加工が進んでいます。それで食品は美味しくなるかもしれませんが、加工が進めばすすむほど食品の栄養価は失われ、生命力が低下します。こうした食品は、むしろ生命から遠ざかる食品といえます。

そこで私の娘には、生命の強い食べ物を、皮ごと丸ごと食べさせようと思いました。生命を持った食べ物(種子)は、地にまけば芽を出します。特に、黒色の種子は生命力を司る腎の力を高めるといわれます。いわば「栄養以前の生命力を食べる」のです。娘に摂らせたのは、野生種の黒米玄米、黒大豆、黒ゴマ、松の実、黒かりん(カシス原種)の粉末食品です。お湯に溶かせば重湯状の飲み物になります。穀物は皮ごと食べると吸収が悪いのですが皮ごと丸ごと液状化したのち微粉末にしているため吸収されやすい飲み物です。

また、季節外れの野菜でなく旬の生きた野菜を生のままジュースにして飲むことによっても、植物の生命を取り込むことができます。ただし最近の野菜は、昔の露地栽培の野菜と比べて、栄養価が著しく減少し、生命力も低下しています。そこで娘には自然栽培の旬の野菜である小松菜、ホウレン草などを用い、その汁(青汁)を絞って毎日飲ませました。家内がジューサーで作り、私がジューサーを分解して洗い、食を預かる家内のストレスを少しでも軽くなるようにしました。

その他にも、基礎体温を上げるような食事を摂るとか、一日一回は空腹を感じるようにするなどに努めましましたが、こうして体内に生命を取り込む食事を推し進めた結果改善し、娘が大学に入学したとたんに、アトピーがスーツと消えてしまいました。これを見て、アトピーにはストレスの影響も大きいのだと痛感しました。

寝たきりをなくそう

娘との食の体験によって私は黒色食品の一物全体食の真価を知りました。そこで、空腹をまぎらわせる食品として普及できないものかと考えました。

それというのも、今、日本人は飽食で、食欲もないのに朝食信仰にとらわれて、毎日朝から三度の食事を摂っています。もし日本人が、一日一回、お腹をすかせるようにしたら、もっと健康で長生きできるようになると思います。

私は、日本中から寝たきりを無くしたいと思っています。日本は世界的にみて大変長生きの国です。しかし長生きすれば、それだけ晩年に介護されたり寝たきりになるリスクが増えます。

健康寿命とは日常生活を自立した状態で過ごせる生活期間 (2018年厚生労働省発表・日本人の健康寿命)
  日本人の平均寿命 日本人の健康寿命 要介護か寝たきりの期間
男性 80.98歳 72.14歳 8.84年
女性 87.14歳 74.79歳 12.35年

年をとると体が弱って病気などして、介護が必要になったり寝たきりになったりすることが多くなります。こうした期間を除いて、私たちが自立して日常生活を送ることができる期間を健康寿命といいます。

日本人の平均寿命は長いですが、その間どれくらい要介護や寝たきりの期間があるか(平均寿命から健康寿命を引く)を調べた結果をみますと、男性が8.84年、女性が12.35年となっています。つまり、日本人の一生の約一割以上が要介護か寝たきりの状態なのです。

空腹のご利益

私が理想としているのは「ピンピンコロリ」 です。死ぬ間際まで元気で、病気や寝たきりなどにならないで、死ぬときはコロリと死ねたら最高だと思います。これを達成するには、いろいろな方法があるでしょうが、「一日一回、お腹をすかせる」 ことも大変有用です。私たちの体は飢餓を前提にして造られています。今のように毎日三度の食事をたらふく食べていたら、健康を維持するのは難しいのです。

食事制限が健康長寿に良い効果をもたらすという研究結果は世界中で発表されています。次にそのいくつかを紹介します。

寿命が延びる。

1935年に、米国のマッケイという研究者はネズミを使って、食餌を40%制限した群と満腹するまで食べさせた群とで寿命を比較しました。その結果、40%食餌制限群は満腹群に比べて、寿命が二倍近く延びることが確認されました。

その後、世界中で追試が行なわれましたが、同様の結果が出ています。

長寿遺伝子にスイッチが入る

2003年、米国マサチューセッツ工科大学のレオナルド・ガレンテ教授によって、世界ではじめて長寿遺伝子が発見されました。そして、この遺伝子は栄養の吸収を促し、動物の老化防止を司る大元の遺伝子であることが解明されたのです。

ところが、この長寿遺伝子は、普段はスイッチオフの状態であることがわかりました。では、どのような時に長寿遺伝子のスイッチがオンになるのでしょうか。研究の結果、それは動物が飢餓状態に陥ったときであることがわかりました。

遺伝子が若返る。

カリフォルニア大学のスティーブン博士の実験では、高齢のマウスにカロリー制限を行なったら、4週間で19個の遺伝子の若返りが確認されたということです。

こうした研究により、今の食事より30~40%のカロリー制限を行なえば健康寿命を延ばせることが、世界の医学会で認められています。

古代食のすすめ

では、ただ減食すればよいかというと、いろいろと問題があります。今の食事は加工食品が多く、栄養が稀薄でそのバランスも悪いですから、そのまま食事を制限したのでは免疫力が低下し、感染症などにかかりやすくなります。

そこで私が注目したのが「古代食」です。古代食なら、少量でナチュラル (自然)な栄養素をバランスよく摂ることができます。古代食は野生種の生命エネルギーに満ちています。

最近の栄養学では、朝食を摂ることを脅迫的なまでに勧めており、朝食を抜くことは罪悪のようにもいわれます。こうした朝食信仰によって、朝から無理して食事を摂っている人が、いかに多いことか!しかし、朝はお腹をすかして、長寿遺伝子を目覚めさせる好機なのです。

時間医学によると、午前四時~正午までは排泄の時間帯で、老廃物や大小便を排泄する時間とされています。特に、30代以降の人が無理して朝食を摂ると、消化も排泄も中途半端になり、体内に残留しやすくなるといわれます。

そこで私がお勧めしたいのが、朝食を少量の古代食と水だけにする方法です。そうすると前の日の夕食から次の月の昼食まで、短い断食をすることになります。これなら栄養を摂りながら消化器や解毒器官を休ませ、「一日一回、お腹をすかせる」ことができます。

「古代食くろご・ペプチド」

私が古代食の素材として選んだのは、

  • 野生種黒米
  • 野生種黒大豆
  • 野生種黒胡麻
  • 野生種松の実
  • 野生種黒かりん(仏名・カシス)

という五つの黒い食物です。私はこれに黒妙り玄米と野生植物を2000℃以上で焼成して得られる黒いミネラルとフラクトオリゴ糖を加えて、微粉末にした製品を作りました。それが「古代食くろご」です。

この五つの組み合わせは、300年以上前に陰陽五行説をもとに、老化現象を司る「腎」を若返らせる漢方薬膳として開発されたものです。腎の衰えは老化に直結しています。漢方では、黒い食品は腎(生命力)の強化に役立つとされています。

この五つの組み合わせは、近年、北海道の旭川医科大学において改めて研究と検証が行なわれ、古代の人の体験則が如何に的確であるか学術的にも裏付けが取れてきました。

私が、「古代食くろご」に野生種の黒い食品ばかりを用いたのは、天然のままの栄養バランスにこだわったからです。この五種類は野生種であり、過酷な環境条件下でも地に蒔けば芽を出します。病虫害に村する抵抗力にも優れています。それは現代の栽培品種の及ぶところではありません。

この生命力の強さを支えているのは、ポリフェノールのアントシアニン群や野生種の生体機能活性化物質、さらにミネラルなどの微量栄養素で、これらがふんだんに含まれています。また細胞のアンテナとして、細胞機能に重要な働きをしている糖鎖形成栄養素が約3%含まれています。「古代食くろご」は、希少な野生種の穀物種子を丸ごと粉末にしたものですが、ただ粉末にしただけでは脂質が酸化され、栄養素が壊されてしまいます。酸化された脂質はむしろ有害です。

そこで、「古代食くろご」は、京都大学農学部で開発された液状脂質粉末化製法という特殊製法により、素材を液状化した上で粉末化してあり、表皮や胚芽に含まれる微量栄養素群は酸化されることなく残っています。すなわち、「古代食くろご」は野生の生命力を持った食べ物といえるのです。現在は製法を進化させ化学でなく、自然科学による気圧の差を活用し液状化したのち超微細膜に通し低分子化されています。つまり消化しにくい硬い穀物が水溶性のペプチドに進化し、より吸収が良くなっています。自然科学を応用したペプチドリップ製法といいます。名称も「古代食くろご・ペプチド」と変更させていただきました。

近代農法では農薬や化学肥料が多用され、ビタミンやミネラル、その他の微量栄養素が激減しており、食品の機能性が大幅に低下しています。しかし古代食には、こうした栄養素が豊富に含まれています。

「古代食くろご・ペプチド」は、いわゆるサプリメントではありませんが、黒い野生種の生命力の素であるアントシアニンなどの黒色色素栄養を次世代を生み出す複雑な成分の調和を乱さずに丸ごと摂れる食品です。黒い野生種の一物全体食品となっています。

これには五つの黒い食品の機能性は足らぬところを補い合い内臓を温め、血流を良くし、腸内毒素の排泄を促すなどの働きがかかわっているものと考えられます。素朴な農産物でありながら、近代農法で栽培された農産物ではなし得ない機能性を持っている。それが野生種黒色食品の真価といえると思います。

【お召し上がり方】

コーヒーカップ一杯の熱湯に、「古代食くろご・ペプチド」を大さじ5~6杯 約25gを溶かしてお召し上がりください。よく撹拌するほど美味しくなります。

いつ飲まれてもかまいませんが、はじめに述べたように、朝食を「古代食くろご・ペプチド」のみとし、他の固形物を摂らないようにすれば、内臓を十分に休ませることができます。お湯で溶かせば重湯状になりますから、胃腸に負担はかかりません。そうしてお昼を迎えますと、前夜から16~18時間は内臓を休ませることができます。臓器を休ませることで、機能の回復が促進されます。

また、長寿遺伝子を目覚めさせるのに役立ちます。

「古代食くろご・ペプチド」は、生理活性化物質も脂質とともに酸化されずに低分子の粉末ですので腸管からの吸収性に優れています。赤ちゃんの離乳食(量は加減して)の一品としてもご利用いただけます。

(つづく)

☆古代野生種五種配合 「古代食くろご・ペプチド」(800g)

8,964円(税込)