猪股恵喜 講演会記事 【人間医学社薬局】 (下)

千年前の食品舎・舎長  猪股 恵喜


誰しも人生の最期は「ピンピンコロリ」と終えたいと願っていると思います。この願いを達成するのに、今からでも間に合う方法があります。それは、毎日一回、お腹をすかせることで、ご自身に備わっている治る力、修復力を目覚めさせることです。

また、現代栄養学の盲点は人は栄養素で動く機械と考えていることです。もう一つの盲点が健康法です。私たちの健康のための努力を無にしかねない健康常識のいくつかを紹介してみましょう。

朝食信仰

私たちは生体のリズムに合わせて活動しています。時間医学による食事の摂り方では、前回にもお話しましたが、午前4時~正午までは排泄の時間帯で、老廃物や大小便を排泄する時間とされています。

食事を摂るのは正午~午後8時がよく、これは栄養補給と消化の時間帯です。午後8時~翌朝4時までは栄養の吸収と代謝、そして細胞の修復の時間帯とされています。

生体の消化・吸収・排のリズム

午前4時~正午

排泄の時間帯
(老廃物や大小便の排泄)

正午~午後8時

食事(栄養補給)と消化に適した時間帯
午後5時~6時(もっとも味覚が敏感になる)

午後8時~翌朝4時

吸収と代謝、修復の時間帯

また、私たちの体の細胞は25歳くらいでピーク(60兆個)となり、それ以降は一日に10億個ずつ減っていくといわれます。生きるために食べることは必要ですが、背も縮むように細胞は年とともに減少しますから、それに伴って食事の量も減らしていくのが自然です。

ところが最近の栄養学では、朝食を摂ることを盛んに勧めています。お腹がすいてもいないのに無理して食べている人もいます。やはり、朝は排泄を高めるとともに働きづめの消化器や解毒器を休める時間帯と考えることが大切です。

玄米食信仰  

玄米は栄養豊富で生命の塊といわれますが、逆に人によっては胃に負担となったり、消化がわるくてミネラル不足を起こしたりすることがあります。その原因は、玄米に含まれる発芽抑制因子(アブシジン酸)やフィチン酸などの阻害物質です。

玄米の発芽抑制因子(老化促進因子)はアブシジン酸といわれ、腸内で活性酸素の生成を促し、腸壁を傷つけることがあります。その傷から本来吸収されることのない毒性の物質が取り込まれ、様々な病気の原因になることがあります。

またアブシジン酸免は免疫機能の80%が集中する腸細胞のミトコンドリアを破壊し腸内免疫や体熱産成を阻害し低体温となります。低体温は免疫力の低下です。

そこで私は、白米か七分鴇き米をお勧めしています。もし、玄米を食べるのであれば発芽玄米にすることです。発芽抑制因子は玄米を発芽させると消えます。しかし、発芽した玄米を再度乾燥させると、アブシジン酸が倍増してしまうので、乾燥した発芽玄米が安全とはいえません。自分の家で玄米を12時間水に漬けると、発芽前段階となりアブシジン酸は役割を終えて働かなくなります。

ここで気をつけなければいけないことは、20℃以上の水に漬けると腐敗が始まりやすいことと、納豆菌が繁殖し腐敗臭のもととなり、洗っても炊飯してもこの臭いは取り除けないないので注意が必要です。短時間の浸潤で済む胚芽が少し残る七分摘きや白米が良い理由です。

また、フイテン酸はミネラル成分と強く結合する働き(キレート作用)があり、人体に有害な重金属を排泄し病気を治します。しかし一方で、消化酵素の分泌量の低い方はカルシウムやマグネシウムなどの吸収も阻害してしまうマイナスの面もあることを考慮しないと、玄米食が貧血ほはじめとした病気を呼び込むことになります。また、発芽前段階にした場合は、フィチン酸は水溶性のビタミン様物質であるイノシトールに変化し抗ガン作用などの良い面だけが残ります。

江戸、明時大正の玄米と平成の玄米は似て異なるものです

江戸から明治大正時代の玄米はうるち米ですが、コシヒカリに代表される現在の玄米(低アミロース玄米)は自然界では起こりえない方法でもち米に近い食感に品種改良されています。もちもちとして甘味がでてとてもおいしいのですが、甘いためエネルギー源である主食として沢山食べれなくなってきました。そのため副食が増えカロリーオーバーによる病気が増えてきました。主食に味があってはいけないのです。また天日乾燥では効率が悪いので現代農法では収穫と脱穀が容易になるコンバインでたたいて刈り取りながら脱穀しダメージを与えたうえ、温風による強制乾燥が主力になっています。温度管理が甘かった場合玄米は焼け死に発芽力を失いますので12時間水に浸潤させても発芽抑制因子は消去されませんから玄米の種(しゅ)を守るための毒性は消えません。また高アミロース米はお米アレルギー対応食品ですがもち米のようにもちもち感を出すために低アミロースに品種改良された現代の玄米はお米アレルギーの方は食べることができません。

塩、牛乳信仰

高血圧の原因になるということで、国を挙げて減塩運動が繰り広げられていますが、過度の減塩は体内の電解質不足を招き、

筋肉の働きに影響を及ぼしたり、高齢者の循環器障害や骨折、痴呆症、寝たきりなどにも影響を及ぼすといわれています。さらに、市販食品は減塩を求められ、塩の防腐効果がなくなりますので防腐剤等の食品添加物の使用量を増やす結果にもなっています。

時間医学の研究からわかったことですが、夕食の時間帯には少しくらい塩分を摂っても、血圧が上がることはないそうです。むしろ安定します。ただし、塩は完全天日の自然塩をお勧めします。自然塩でも加熱製造されたものは、ナトリウムと塩素の結合が強くなり、不要分を尿として排泄しにくくなるからです。

一方、牛乳は骨租軽症の予防のために飲む方が多いですが、牛乳愛飲者の方が逆にカルシウム欠乏症になりやすいことが、疫学調査でわかっています。さらに、牛乳はインスリン様成長因子(IGF・1)という生理活性物質を多く含んでいますが、これを多量に取り込むと、乳ガンや前立腺ガンの発症に関わってくることも明らかになっています。

その他、電子レンジの使用もお勧めできません。電子レンジで調理することで、食品に含まれるビタミンや酵素などが破壊され、タンパク質を構成するアミノ酸も人体に活用されない形に変性します。

このような食習慣を改め、現在の食事の30~40%のカロリー制限を行なえば、眠っている長寿遺伝子が目覚めます。しかし、無理な食事制限は新たなストレスを生むことにもなります。

そこで空腹緩和と栄養バランスの改善を兼ねて、私がお勧めするのが「古代食くろご・ペプチド」と「古代のカシス」です。古代食くろごは、過酷な環境条件の下で生き続けている野生種の穀物種子を丸ごと粉末にしたものであることは前回お話ししました。

今回は、古代食くろごの素材の一つでもある「古代のカシス」についてお話ししていきます。

古代のカシス   古代果実の生き残り (日本名 黒かりん)

「古代のカシス」は、アジアからヨーロッパにかけての寒冷地に広く分布する低潅木で、6月~8月に直径1cmほどのブドウに似た濃紫色の小さな果実をたくさんつけます。学名は「ユキノシタ科・黒ふさスグリ」、仏名は「カシス」、英名では「ブラックカラント」と呼ばれています。

私どもの古代のカシスの果実は、中国黒龍江省の長白山脈一帯の野生種を採取しています。もともと古代のカシスの発祥は、シベリアのバイカル湖周辺とみられていますが、野鳥や野生動物などの媒介により長白山脈にも群生するようになったようです。

ここには古代のカシスをはじめ2200種類以上の薬草が、ほとんど野生のまま群生しています。現在は、国家が管理しており、許可なしで採取することはできません。

長白山脈は北はロシア、南は北朝鮮、そして西はモンゴルと境を接しており、かつて活火山であった白頭山火口付近に位置します。この火山爆発のくり返しで灰が積もり、土壌には多くの微量ミネラルや、微生物、さらに植物には人知では分析できないような成分が含まれるようになります。

また、夏と冬との温度差が60℃以上にもなる過酷な秘境・気候でもあり、何万年もの間、人の手が入ることはありませんでした。

また、長白山脈は世界でも紫外線が強く降り注ぐ地域といわれています。そのため大地に根を張り身動きできない植物は、強力な紫外線から身を守るために自らポリフェノールを作り貯えています。これらを人が食すると、野生の生体機能調節因子となり抗酸化成分となります。

このような過酷な環境で三万年もの間、頑固に変化を拒み続けてきた古代のカシスは「古代の果実の生き残り」ともいえます。

二大成分 野生種のアントシアニン レスベラトロール

古代のカシスの採取適期は、7月25日~8月20日の約一カ月間で、人の手によって摘み取られます。この時期の果実には100g中に約3000mgものポリフェノールを含んでいます。摘み取られた古代のカシスは、皮も種も丸ごと粉砕し圧搾機にかけられ、真空濾過機に通し、蓄積タンクに芳香も一緒に保存されます。

7倍濃縮された古代のカシスは、ビタミンB群やC、クエン酸、タンニンなどの成分を豊富に含んでいます。特に、ポリフェノールのアントシアニンとレスベラトロールを多く含んでいるのが大きな特徴です。

【アントシアニン】 同様の成分でも野生種と栽培種とでは生命力に差があり

ブルーベリーが日に良いことは広く知られていますが、古代のカシスにも多量のアントシアニンが含まれており、これが目の健康に大変役立ちます。目の網膜にはロドプシンという感光物質があり、光の刺激を受けると分解し、また再合成され、これをくり返しています。この情報が視神経を介して脳に伝えられて「物が見えた」と認識されます。アントシアニンはこのロドプシンの再合成を促し、認識する力を向上させることがわかっています。夜間の運転やパソコンなど目を酷使する方には実感しやすいと思います。

活性酸素が過剰に発生すると目の老化や様々な病気の原因になりますが、古代のカシスのアントシアこンの抗酸化力は、ブルーベリーの約二倍もあります。さらに医科大学での他のアントシアニンを含む果実との比較研究においても様々な面で機能性は上回っています。同じ成分でも野生種と栽培種ではその力に差があることは山芋と自然薯との差にも似ています。

【レスベラトロール】

嗜好品でありながらタンニンやレスベラトロールなどを含む赤ワインの機能性がブームになったことがあります。古代のカシスの種子や皮は、赤ワインよりレスベラトロールを多く含み、強い抗酸化作用を持っています。これは活性酸素がもたらす様々な不都合に対して美味しいお酒が役に立つわけです。中でも古代のカシスのレスベラトロールの作用は、赤ワインの15倍もあるそうです。

レスベラトロールには延命効果もあるようです。ハーバード大学の病理学者デービット・シンクレア博士が、イギリスの科学雑誌『ネイチャー』に発表したところによれば、レスベラトロールに人の寿命を五年くらい延ばす働きがあるのではないかということです。飢餓状態に陥ったときに長寿遺伝子のスイッチがオンになりますが、レスベラトロールにその働きがあるそうです。

野生のスーパー果実

このような成分を多く含む古代種の果実を丸ごと、清浄な工程で加工、濃縮した健康食品が「古代のカシス」です。「古代のカシス」を用いて国立旭川医科大学で研究が行なわれました。あまりなじみがないかもしれませんが植物色素のもつ機能性の研究です。これを色素栄養学といいます。

中でも、インフルエンザA型、B型ウイルス、単純ヘルペスウイルス、アデノウイルス、RSウイルス、チフス菌、サルモネラ菌、ペスト菌、腸管出血性大腸菌O-157などに対しての機能性が報告されています。このことから「野生のスーパー果実」といわれています。

しかも、121℃で21分間、高圧蒸気で加熱しても、「古代のカシス」の持っている機能は失われません。そのため料理素材としても安心して加熱ができ、食品の防腐効果も期待できます。

また、薬やサプリメントに頼らない人にとっても頼もしい食材の一つといえます。「カシス」は、ナポレオンの統治下のフランスでペストが流行したとき、ワインやブランデーに加えて飲用し、ペスト戦ったというエピソードもあります。

【お召し上がり方】

6gアルミ分包1袋を目安に、水やお湯などに溶かしてお飲みください。酸味が強いため、空腹時に飲むと胃に違和感がある場合には、お食事と共にお飲み下さい。

いろいろな飲み物に混ぜていただくこともできます。たとえば、蜂蜜やメープルシロップなどの甘みを加えると美味しい野生のジュースになります。ビールに混ぜればカシスビアーにもなります。焼酎のお湯割りや炭酸割にもお試しください。鮮やかな赤いカシスリカー、カシスソーダの天然の味を視覚でもお楽しみいただけます。アントシアニンは熱を加えると吸収が良くなるため、料理の素材にも使えます。私の家ではパンを焼くときにも使っています。

(了)

☆古代のカシス濃縮液 6g分包×30 (180g)

8640円(税込)