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お腹が空かないと分泌されないホルモンと防御因子

一日一回、お腹をすかせましょう

モチリン

空腹時に上部小腸で分泌胃腸を動かす排池作用

空腹時に1~2 時間ごとに胃から盲腸の前まで移動する強い収縮運動を起こす。空腹が6 時間以上続かないと出てこない。(就寝時の夜間断食含む) 朝一仕事してから食べる。起きて直ぐの朝食は排泄を阻害する。コップ1~2 杯の水分を摂る刺激だけでも胃腸は動く。

グルカゴン

空腹時に膵臓ランゲルハンス島α細胞で分泌

血糖値が下がるとホメオスタシスは飢餓と判断し、肝臓に貯蔵していた燃料のグリコーゲンを分解しアミノ酸からブドウ糖の生成を促進してエネルギーに変える。脂肪細胞のリパーゼを活性化し、脂肪を分解し遊離脂肪酸を増加させ、肝でケトン体生成。ケトン体は脂肪や蛋白質をエネルギーとする。断食すると体内脂肪が分解しケトン体のβヒドロキシン酪酸となり脳のエネルギーとなるのでブドウ糖のみが脳のエネルギーと言われるのは誤り。

空腹時のエネルギー放出機構

白色脂肪細胞は、カテコラミン刺激、細胞内転写機構の調節発現などにより、脂肪分解を行って、遊離脂肪酸(FFA) とグリセロールを産生し、放出する。放出された脂肪酸は、筋肉のミトコンドリアでβ一酸化を受けてacetyl-CoAとなりエネルギー源として利用。

グレリン 1999年国立循環器センター研究所による発見(吹田市)

空腹時に胃底腺から分泌、血流中に放出され脳の至るところにある受容体を活性化

胃が空っぽの時に分泌し成長ホルモンの分泌を強力に刺激、高齢や他の原因で分泌が少ないと胸腺(免疫)退化。14ヶ月齢の高齢マウスにグレリンを注射すると、加齢に伴う胸腺の構造変化と胸腺細胞の数、免疫細胞の多様性が劇的に回復。これは老化に伴って起こる免疫機能の老化を抑制していることを意味している。海馬の血流が増加し頭の回転も良くなりアイデアも出やすい。発明も空腹時に。石器時代は空腹になってから狩猟した。今までの状況の記憶と危険の回避、記憶力や有意な知恵は収獲にも安全にも大きく係わった。一方満腹時は脳の働きが良くない。以前から「腸は考える臓器」という言葉があったが、実際に消化管が分泌するホルモンのグレリンが脳の機能をコントロールしていた訳です。

成長ホルモン

空腹時にグレリンが胃から分泌された後に脳下垂体で分泌

グレリンが血液を通じて脳下垂体に直接働いて成長ホルモンの分泌を強く促す。成長ホルモンには筋力の増強作用があります。海外では実績もありますが国内でも筋力の落ちた高齢者の人工関節置換術の機能回復促進にグレリンを投与し成長ホルモンの分泌を促す臨床試験も行われています。グレリン投与による心機能不全改善及び、エネルギー代謝是正効果の臨床評価の研究も最近開始されています。成長ホルモンの分泌に関しては今までは脳の視床下部ホルモンによるルートがよく知られていた。

アディポネクチン(血清蛋白・防御因子)大阪大学医学部発見

脂肪細胞は生活習慣病発症因子と防御因子を分泌しています

お腹をすかすと脂肪組織より防御因子のアディポネクチンが分泌されます。

脂肪細胞は飢餓を前提にエネルギーを備蓄しています。飢餓感、つまり空腹になると備蓄したエネルギー源の内蔵脂肪を燃焼させブドウ糖に変えることで低血糖を防ぎます。皮下脂肪よりも内蔵脂肪は燃焼しやすく速やかに肝臓を介しエネルギーに変換されます。空腹により内蔵脂肪が燃焼すると癌をはじめ主な病気に対して防御的に働くアディポネクチン(血清タンパク)が増えてくることが分かってきました。逆に肥満すると攻撃型のアディポサイトカインが増え、糖尿病をはじめメタボリックシンドロームからの様々な病気の発症を促すことも分かつてきました。一般的に脂肪細胞は悪者扱いをされていますが、実は脂肪組織とは巨大な内分泌臓器であり体を守る働きがあることがはっきりしてきました。皮下脂肪は女性の妊娠に備えたエネルギー貯蔵であり、授乳などで燃焼します。母乳で育てるお母さんは産後にスタイルの回復が良くなります。一方内蔵脂肪は男性に貯まりやすい性質をもちます。内蔵脂肪は速やかにエネルギーに変わりやす
い性質を持ちます。原始の時代の狩猟や労働の即時エネルギーになるためには変換しやすい形の内蔵脂肪の必要性が高く男性に蓄積しやすいように遺伝情報に組み込まれました。脂肪細胞は一つ々の細胞が太ったり痩せたりします。一日三食や、間食の多い生活で労働量が少ない場合、脂肪は過剰に貯蔵され、攻撃型のアディポサイトカインが増えてきます。