食べ物に化学はいらない

いくつかの百貨店の食料品売り場にどのような『出汁』が展示されているか視察に行ってきました。百貨店ですから選りすぐりの、こだわりの出汁が置いてあるのだろうと期待していったのですが、残念ながら昔ながらの丸ごとの乾物である煮干しや昆布、鰹節などは納得のできるものが展示してあったのですが、分包や粉末出汁、瓶入りの液体出汁には添加物の含まれているものしかありませんでした。化学物質過敏症やアレルギーの方は摂ることができないものばかりで暗澹たる気持ちになりました。また化学物質に頼った出汁は敏感体質の方以外でも弊害が蓄積されます。例えば味覚が壊れてしまうと自然なものを美味しいと感じれなくなる、幼いお子さんの味覚を育てる意味でも化学物質に頼ったものを与えることは避けねばなりません。味覚は生存するためになくてはならないセンサーです。生き残るため毒性のあるものを避け、食べても害のないものを選ぶために発達してきた重要な感覚の一つなのです。甘みを感じる味覚は炭水化物のエネルギー源にたどり着くためのものであり、旨味を求めていくとタンパク質にたどり着きます。酵母エキスはその味覚を利用して栄養の無いものに栄養があると錯覚させるものなのです。製造者にとって当然コストは下がり都合の良いものなのです。

化学調味料不使用と表記して自然派の無添加をアピールした出汁もありますが、裏表示をよくみると酵母エキスを使ってあるものが多いのに驚きました。『酵母エキス』というネーミングの響きは自然で安心なものとのイメージがありますが製法を知るととても不自然で化学的なものであることが分かります。前述の味覚にも悪影響を与えます。製法はまず遺伝子組み換に近い技術を施した酵母菌に炭素を含むサトウキビの粕や窒素を含む餌を与え代謝物として昆布に含まれるアミノ酸や鰹に含まれる核酸などを作り出させます。代謝物とは分かりやすく言いますと微生物が分泌した役に立つ排泄物のことです。国のガイドラインがないため酵母エキスは遺伝子組み換え食品ではありませんがそれに近い純粋培養技術で作られています。酵母が作り出したグルタミン酸にナトリウムを加えるとグルタミン酸ナトリウムになります。味もまさに化学調味料です。自然の味を忘れてしまいます。遺伝子組み換え食品はフランスの研究でラットの発がん作用が確認されており、2015年5月14日世界40か国で遺伝子組み換え食品反対デモが起きています。

弊舎では100%天然素材の『だし&栄養スープ』を展開していますがいまさらながら食文化として日本に定着させねばならないと痛感しています。